「はぁ・・・はぁ・・・くっそぉぉぉ!・・・・俺の・・・負けか・・。」
ダニーは大汗をかいてその場にへたりこんだ。男はダニーの頭上を覗き込むかのように近づき、口を開いた。

「・・・・・さて、どうだね?この勝負、キミが負けたわけだが?」

ダニーはうつむいたまま返答した。
「はぁ・・・、俺の負けだ。好きにしやがれ。約束だからな。」

「ふむ、なかなか筋の通った男だな・・・・・。」

「キミの手を見たまえ。どうだったかね?アツくこみあげくるものはなかったかね?」

ダニーはまじまじと手のひらを眺めた。うっすらとにじんだ汗がまわりの光に反射してきらきら輝いている。

「あ・・・あぁ・・・・・なんだ、なんで俺はこんなにアツくなってるんだ??」

「・・・・・おそらくキミが求めていたものじゃないのかね?」

「確かに・・・・・・たかがライターだってのに・・・」

「キミはワタシに対抗して本気になった。だからアツくなれた。どんなに命を懸けた戦いであっても本気にならなくてはアツくはなれないのだよ。」

ダニーは意をえたり!といった微笑を浮かべた。
「ちっ・・・・えらそうに・・。で、俺はどうすりゃいいんだ?なんでも言うこときこう。アンタには負けたよ。」

「ふむ・・・・どうかね?みんな!この男を仲間に加えても!」
男は周りにいた観衆を見回した。
「??」
ダニーはわけもわからず観衆に眼をむける。
観衆はまた無言でうなずいた。

「よぉし!決まりだ。ようこそ!ソルトレークのきらめきへ!」

「は?なんのことだ?」

「今日の集まりは本気でアツくなれる勝負を捜し求め、ぶつけあい、分かち合うために結成されたクラブ。”ソルトレークのきらめき”の会合だったのだよ。」

「はぁ・・・?」

「ここでは先ほどのライター勝負のほかにも命をかけずとも本気でアツくなれる勝負を日々模索し、実践されていくのだ。」

「どうかね?やってみないかね?キミなら私たちとアツい時間を共有できると思ってね。」

ダニーは目を輝かせた

「・・・・お・・・・おもしれぇ!やってやろうじゃねぇか?!」

「決まりだ!では、改めて新メンバーの加入記念もかねて!乾杯!」

そして宴と勝負は始まったのであった。
みなアツい勝負に熱中する中、男はダニーにそっと耳打ちした。

「実はさっきのライターね。もともと絶対つかないように細工していたのだよ。キミがライターを変えろということを計算してね。」

「なっ!!」

「・・・・アンフェアかもしれないがそれも勝負、かけひきのうちだよ。キミ。」男はこめかみを人差し指でつつく仕草をした。

「・・・・・・・なるほど!」

そしてダニーは男の誘われるがままにアツい戦いの場へ身を投じていくのであった!!

第一部 完←つづくのか?!>俺

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